脳のしくみ

私たちが生きていく上で欠かせないのが脳です。この脳が正常に動き続けることで私たちは生き続けることができると言えます。ここでは脳の構造や機能、脳に生じる病気などを詳しく解説します。

脳のしくみや構造とは

ここからは脳のしくみや構造についてご紹介します。

脳のしくみ

私たちは無意識の中で息を吸い、血液が体内を巡り、自然とお腹が空くようになっています。これらは常に脳が指示を出し続けており、意識せずとも動くようになっているのです。一方で何らかの動作を必要とする場合はそれぞれがリアクションを起こしていき、動作につなげていきます。

例えば、運動をする場合、大脳皮質と呼ばれる部分が身体を動かすように指令を出します。意識的に体を動かす行為は「随意運動」と呼ばれ、脳内の各所に電気信号によって働きかけが行われ、それぞれが指示を出し合います。脳内で連係プレーが行われることで、動くことができるのです。そのため、特殊な機械で磁気刺激を脳に与えると、意思に関係なく身体が動くようになります。

脳のしくみはまだまだわからないことだらけであり、謎が多い部位ですが、だからこそ更なる研究が期待されています。

脳の構造

脳は大脳・小脳・脳幹の3つに分けることができます。大部分を占めるのが大脳、後頭部に位置するのが小脳、中心部に位置するのが脳幹です。いずれの部位も絶対に欠かすことのできない部位であり、それぞれに重要な意味を持ちます。

大脳

大脳は脳の大部分を占める部分であり、前頭葉や後頭葉、側頭葉、頭頂葉に分けられます。それぞれの部位には役割が与えられており、例えば前頭葉は感情や言語、運動などを扱い、理性や社会性などに直結することから「高次脳機能」と呼ばれています。

頭頂葉は感覚に関する情報を処理し、後頭葉は視覚に関する情報、側頭葉は言語理解や記憶などの情報を管理・制御する部分です。これらの部分を負傷すると、その部分に関連した機能が損なわれてしまいます。

小脳

小脳は、平衡感覚などを司るとか、身体の動きなどを記憶している部分です。私たちが当たり前のように走ったり、飛び跳ねたりできるのは小脳がその動きを覚えているからであり、この部分を負傷してしまうと、運動面において何らかの悪影響が出てしまいます。

脳幹

脳幹は間脳、中脳、延髄などで構成されており、生命維持に必要な機能がすべて詰まっている重要な部位です。呼吸をする、息を吸うなど生きる上で絶対に欠かせない部分のコントロールを担っており、この部分を負傷すると死に至る可能性が高まります。

脳幹は負傷してしまうと取り返しのつかない事態になりやすく、場合によっては再起が非常に難しい状況に追い込まれます。身体機能に様々な障害が出てしまうため、脳幹へのダメージは絶対に避けなければなりません。

脳の機能

脳の機能は大きく分けて「一次機能」と「高次脳機能」に分けられます。また一次機能の中で「機能局在」と「一次野・連合野」が存在します。ここからはこれらの機能について詳しく解説します。

一次機能

一次機能は、知覚機能や運動機能などをまとめたものです。一次機能は五感で感じたことを脳に伝える知覚機能、手足を動かす運動機能、生命維持機能などが該当します。一次機能はいわば「基礎となる機能」とも言えます。

高次脳機能

高次脳機能は一次機能によって得られた情報を踏まえて、より高度な命令を出す機能です。例えば、認知や記憶、判断などが該当します。高次脳機能は人間ならではの機能であり、他の動物と比べても進化している部分です。

人間の高次脳機能は他の霊長類と比べてあえて脳処理が遅いことで進化を遂げたと言われており、大学の研究においても明らかになっています。

機能局在

機能局在は一次機能において、脳のどの部位がどの機能を司るのかを示したものです。機能局在という考え方が注目されたのは19世紀のフランスで、失語症患者が亡くなった際に解剖を行ったところ、特定の部位に脳梗塞が見つかったことが始まりとされています。

1950年代には脳の表面に電気刺激を与えることで、意思に関係なく足や手が動くことが明らかになり、電気刺激によって反応した部分をまとめたものが機能局在として世界中に知れ渡りました。ちなみに脳そのものに痛点がなく、電気刺激を与えたところで激痛が走るわけではありません。

一次野・連合野

一次野は五感を司る部分や運動に関する部分をまとめたものです。例えば、五感に関する部分はそれぞれ視覚野、聴覚野、嗅覚野と呼ばれています。運動に関しては運動野と運動前野、皮膚や筋肉などがかかわる部分は体性感覚野と呼んでいます。

一方で連合野は、一次野から得られた情報を踏まえて認知や判断、記憶などを行っていく部位を指します。連合野は前頭連合野・頭頂連合野・側頭連合野に分けられ、それぞれの連合野が機能を果たす形です。

脳の病気

脳の病気には種類があり、いずれの病気も命にかかわるものばかりです。その中でも代表的な脳の病気をまとめました。

脳梗塞

脳梗塞は脳内にある血管が詰まり、詰まった部分より先の脳の部分が壊死してしまう状態を指します。脳梗塞はじわじわと進行していくため、ある時から手足が動かしにくくなる、話しにくくなるなどの症状が出始めます。

脳梗塞は虚血性脳卒中と呼ばれ、心臓内にあった血栓が脳内に行ってしまって脳梗塞を起こす心原性やアテローム血栓性、ラクナ梗塞などの種類があります。

脳出血

脳出血は、文字通り脳内が出血している状態を指します。脳内の血管が破れてしまい、出血が発生することで脳内を圧迫します。いきなり頭が痛くなるなど突発的に生じやすい症状でもあり、治療を始めるタイミングが遅れると死に至ることもある病気です。

一方で出血の状態をすぐさま改善しても後遺症が残る場合があります。そのため、脳出血にならないよう、脳出血の原因の1つである高血圧の改善などが求められます。

くも膜下出血

くも膜下出血は、くも膜と呼ばれる部分の下で出血が起きる状態を指します。脳の表面にある血管の一部にこぶができることがあり、このこぶが破裂することでくも膜下出血につながってしまいます。

高血圧や飲酒、喫煙などがこぶの破裂につながりやすく、遺伝的な要素もあるとされており、注意すべき症状です。突然頭痛や吐き気に襲われる一方、こぶの存在は健康ドック・脳ドックなどでチェックができるため、これ以上こぶを大きくしないために生活習慣の改善などが必要となります。

脳腫瘍

脳腫瘍は脳内に生じた腫瘍を指します。様々な場所に腫瘍ができやすく、腫瘍に圧迫された部分に関連する機能が著しく低下してしまいます。部位によっては手術で摘出することは可能ですが、摘出が難しいケースもあります。

脳腫瘍はじわじわと進行し、圧迫されている部位の機能が低下していくため、その中で違和感を覚え、脳腫瘍が発覚するケースがほとんどです。

てんかん

てんかんはニューロンに突如発生する電気的な刺激を原因として起こる発作を指します。普通に生活しているように見える人も、突如反応しなくなる、急に意識を失うなどの症状があるものの、しばらくすると回復し何事もなかったかのように復帰するなどの症状がみられます。

認知症と間違えられやすいほか、運転中にてんかんを発症して重大な事故を招くなど、適切な治療が求められます。てんかんは何らかの理由で脳内に異常をきたすことで生じ、原因不明のケースもあります。

アルツハイマー病

アルツハイマー病は、認知症を引き起こす病気です。脳内にあるアミロイドβタンパクと呼ばれる物質がたまることで神経細胞が破壊されて神経細胞が減り、認知症を引き起こすというものです。

動脈硬化が原因とされ、動脈硬化の改善を図ることがアルツハイマー病の進行を止めることにつながります。

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