【脳卒中になりやすい人】共通点はこれだった!特徴を知ってリスク回避|医師が徹底解説

脳卒中 なりやすい人
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突然ですが、あなたは脳卒中のリスクについて考えたことはありますか?

実は、誰もが脳卒中のリスクを抱えており、ある日突然、人生が一変してしまう可能性があるのです。

2025年の研究では、高血圧患者への集中的な血圧管理で脳卒中リスクが低下することが示されました。 高血圧以外にも、糖尿病や喫煙、肥満といった身近な要素や、睡眠時無呼吸症候群といった病気が脳卒中のリスクを高めているのです。

この記事では、脳卒中になりやすい人に共通している7つの特徴と、リスクを下げるための7つの予防法をポイントに分けて医師が徹底解説します。

ご自身やご家族の健康を守るためにも、ぜひ一度、ご自身の生活習慣を見直してみませんか?

脳卒中になりやすい人の7つの特徴

脳卒中になりやすい人の7つの特徴
脳卒中になりやすい人の7つの特徴

脳卒中は、ある日突然私たちの生活を大きく変えてしまう可能性のある病気です。後遺症が残ることも少なくなく、普段から予防を意識することが大切です。

脳卒中は決して他人事ではありません。自分は大丈夫と思わず、ご自身が脳卒中になりやすい特徴を持っていないか、ぜひ一度確認してみてください。

高血圧

高血圧は、自覚症状がないまま静かに進行し、脳卒中のリスクを高める危険因子です。高血圧の状態が続くと、血管の内壁に負担がかかり、動脈硬化を進行させます。動脈硬化は血管を狭く、硬くする変化で、脳梗塞や脳出血の大きな原因となります。

血管が狭くなると、血液の流れが悪くなり、脳の細胞に酸素や栄養が十分に届かなくなります。これが脳梗塞です。また、血管が硬くなると、血管が破れやすくなり、脳出血のリスクも高まります。

目標とする血圧は130/80mmHg未満です。健康診断で血圧について指摘されたことのある方は、家庭用の血圧計で毎日血圧を測ることが大切です。また、定期的な健康診断でも血圧をチェックするようにしましょう。

高血圧と診断された場合は、医師の指示に従って、生活習慣の改善や薬物療法をきちんと続けることが重要です。

糖尿病

糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が続く病気です。高血糖の状態が続くと、血管が傷つき、動脈硬化が進行しやすくなります。

動脈硬化は脳卒中の主要な危険因子であるため、糖尿病の方は脳卒中のリスクが高いと言えます。

血糖値を適切にコントロールすることで、脳卒中のリスクを下げることができます。食事療法、運動療法、そして必要に応じて薬物療法を行い、医師の指導のもとで適切な治療を続けましょう。

最近の研究では、SGLT2阻害剤という種類の糖尿病薬が、心房細動のリスクを減少させる可能性が示唆されています。心房細動は、脳卒中のリスクを高める不整脈の一種です。

脂質異常症

脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質の値が異常な状態です。特に、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高いと、血管の内側にコレステロールが蓄積し、動脈硬化を促進します。

動脈硬化は脳卒中の大きな危険因子です。食生活の改善、運動、そして必要であれば薬物療法によって脂質異常症を改善し、脳卒中のリスクを下げるようにしましょう。

喫煙

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させます。また、一酸化炭素は血液中の酸素を減少させ、血管を傷つけます。これらの作用により、喫煙は動脈硬化を促進し、脳卒中のリスクを高めます

脳卒中だけでなく、様々な病気のリスクを高める喫煙は、百害あって一利なしです。禁煙は脳卒中の予防に非常に効果的です。禁煙を始めることで、脳卒中のリスクを大幅に減らすことができます。

肥満

肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めます。これらの生活習慣病は、脳卒中の危険因子です。適正体重を維持することで、これらの生活習慣病のリスクを下げ、脳卒中のリスクも低減できます。

バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。

心房細動

心房細動は、心臓のリズムが乱れる不整脈の一種です。心房細動になると、心臓内に血栓(血液の塊)ができやすくなります。この血栓が脳の血管に詰まると、脳梗塞を引き起こします。

心房細動は脳卒中のリスクを約5倍に高めると言われています。2025年に発表された研究では、系統的な心房細動のスクリーニングによって、脳卒中や全身性塞栓症のリスクを低下させることが示されています。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や不整脈のリスクを高め、結果として脳卒中のリスクを高めます

眠時無呼吸症候群の症状には、以下のようなものがあります。

  • 大きくて不規則ないびき
  • 寝苦しい
  • 喉の渇き
  • 日中強い眠気がある
  • 疲労感が取れない
  • 睡眠中の呼吸停止(パートナーが気づくことが多い)
  • 起床時に頭痛がある
  • 集中力や記憶力の低下
  • 夜間に何度も起きる
  • 気分の変動やイライラ

これらの症状がある場合は、医療機関での検査をお勧めします。早期発見と治療が重要です。

睡眠時無呼吸症候群の見分け方や脳卒中の関連について、以下でも詳しく解説しています。
家族の危険な【いびき】の見分け方!脳卒中の症状かも?医師が解説

適切な治療によって、脳卒中の発症リスクを下げることが期待できます。パートナーから指摘をされたり、ご自身で心当たりのある方は、医療機関に相談しましょう。

松本 和樹
松本 和樹

家族歴と定期検診
脳動脈瘤の手術をした40代女性の家族歴を調べたところ、母親と叔母も同じ病気だったことがわかりました。彼女は「頭痛持ちだから」と病院に来るのを遅らせていました。
脳卒中は遺伝的要素も強く、特に家族に脳卒中の方がいる場合は、若いうちから定期的な検診をお勧めします。早期発見が命を救うことが何度もあります。

脳卒中のリスクを下げる7つの予防法

脳卒中のリスクを下げる7つの予防法
脳卒中のリスクを下げる7つの予防法

脳卒中は、ある日突然発症し、後遺症が残る可能性もあるため、とても不安ですよね。日常生活に支障をきたし、人生を大きく変えてしまうこともあります。しかし、生活習慣を改善することで、脳卒中のリスクを下げることができるのです。

ご自身の生活習慣を見直し、今日からできる予防に取り組んでいきましょう。

血圧管理を徹底する

高血圧は、脳卒中の最も大きな危険因子です。家庭で毎日血圧を測る習慣をつけ、130/80mmHg未満を目標に血圧管理を行いましょう。

2025年に発表されたYang Hらの研究では、60歳以上の高血圧患者において、集中的な血圧管理を行うことで脳卒中を含む心血管イベントのリスクを低下させることが示されています。心血管イベントとは、心臓や血管に関連する病気の総称で、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などが含まれます。

血圧を下げるための具体的な方法としては、食塩の摂取量を1日6g未満にする、カリウムを多く含む野菜や果物を積極的に摂る、などが挙げられます。

食生活を改善する

バランスの取れた食事は、脳卒中予防に欠かせません。具体的には、野菜を1日350g以上、果物を1日200g、魚を週に2回以上摂るように心がけましょう。

食塩は摂りすぎると血圧を上昇させるため、注意が必要です。薄味を心がけ、加工食品やインスタント食品などは控えめにしましょう。

適度な運動を習慣づける

適度な運動は、血圧を下げ、血流を促し血液をサラサラにする効果があります。

ウォーキングやジョギング、水泳など、無理なく続けられる運動を見つけ、一日30分を目標に取り組んでみましょう。

運動不足は、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めるため、脳卒中のリスクにもつながります。エレベーターではなく階段を使う、一駅前で降りて歩くなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことも大切です。

禁煙する

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させる作用があります。また、一酸化炭素は血液中の酸素の運搬を阻害し、血管を傷つけます。これらの作用により、喫煙は動脈硬化を促進し、脳卒中のリスクを高めます。

喫煙は、脳卒中だけでなく、様々な病気のリスクを高めるため、百害あって一利なしです。禁煙は脳卒中の予防に非常に効果的であり、5~10年間の禁煙でリスクは低下するという研究結果もあります。

禁煙外来などを利用し、禁煙に挑戦してみましょう。

適正体重を維持する(BMI指数の計算方法)

肥満は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高め、脳卒中につながる可能性があります。適正体重を維持するために、バランスの良い食事を心がけ、適度な運動を習慣化しましょう。

BMI(体格指数)は、肥満度を表す指標の一つで、体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)で計算できます。

日本肥満学会では、BMIが25以上を肥満と定義しています。ご自身のBMIを計算し、肥満に該当する場合は、生活習慣の改善に取り組みましょう。

定期的に健康診断を受ける

脳卒中は、自覚症状がないまま進行することもあります。定期的な健康診断で、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの危険因子を早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。

健康診断では、血液検査や尿検査、血圧測定など、様々な検査が行われます。これらの検査結果を元に、医師から生活習慣改善のアドバイスを受けることができます。

ストレスを適切に管理する

ストレスは、交感神経を刺激し、血圧を上昇させるため、脳卒中のリスクを高める要因となります。趣味やリラックスできる時間を持つ、十分な睡眠をとるなど、ストレスを上手に管理する方法を見つけましょう。

ストレスを溜め込まないためには、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。適度な運動や趣味、友人との会話など、自分に合った方法でストレスを発散しましょう。

まとめ

脳卒中 なりやすい人

脳卒中は、後遺症が残る可能性もある怖い病気ですが、生活習慣の改善でリスクを減らすことができます。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、心房細動、睡眠時無呼吸症候群は、脳卒中のリスクを高める大きな要因です。危険因子に当てはまる方は、今日から生活習慣を見直してみましょう。

血圧管理、食生活の改善、適度な運動、禁煙、適正体重の維持、定期的な健康診断、ストレス管理を心がけることで、脳卒中のリスクを下げ、健康な毎日を送ることができます。

小さなことからでも、できることから始めてみませんか?

参考文献

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  3. Zhu S, Pan W, Yao Y and Shi K. “The efficacy of colchicine compared to placebo for preventing ischemic stroke among individuals with established atherosclerotic cardiovascular diseases: a systematic review and meta-analysis.” Scandinavian cardiovascular journal : SCJ 59, no. 1 (2025): 2441112.
  4. Yang H, Xing H, Zou X, Jin M, Li Y, Xiao K, Cai L, Liu Y and Yang X. “Efficacy and safety of intensive blood pressure control in patients over 60 years: A systematic review and meta-analysis.” Clinical and experimental hypertension (New York, N.Y. : 1993) 47, no. 1 (2025): 2465399.

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