脳卒中の原因

ここでは脳卒中の原因について詳しく解説します。

主な原因

脳卒中の主な原因として、予防できない原因と予防できる原因に分けられます。圧倒的に予防できる原因の方が多いですが、予防できない原因も少なからず存在します。それぞれの原因について詳しく解説します。

予防できない原因

予防できない原因には以下の原因が挙げられます。

  • 年齢
  • 性別
  • 家族歴


この場合の「予防できない原因」は自分では抗いようがない原因です。ここからは予防できない原因について詳しく解説していきます。

年齢

年齢を重ねると、どうしても脳卒中のリスクは大きくなっていきます。高血圧や糖尿病などのリスクが何もない状態でも年齢を重ねると次第に発症確率が高まります。

高血圧などが絡むと発症率は格段に上がりますが、そうでない場合でも年齢の影響によって一定の確率で発症するため、高齢者は誰しもが脳卒中に気を付けなければなりません。

性別

脳卒中における性別差は存在しており、脳卒中は男性の方がなりやすいという傾向にあります。しかし、年齢の影響によって男女差は次第になくなるほか、女性の方が長生きという点で、晩年に女性が脳卒中になってしまうことも十分に考えられるのです。

女性の場合は妊娠高血圧や経口避妊薬などホルモンに関する要因で脳卒中を引き起こすことが指摘されており、これらが危険因子となっていることはあまり知られていません。数的には男性の方が多いものの、女性の発症リスクも一定数あると言えるでしょう。

家族歴

脳卒中に関しては家族に脳卒中の発症者がいた場合、自らにも脳卒中の発症リスクが十分にあると覚悟をしなければなりません。脳卒中の発症には様々な要素が絡み、その中に「遺伝的素因」があります。

遺伝的素因として、高血圧や動脈硬化などにつながる遺伝子の有無があり、これらが遺伝されていると脳卒中の発症につながりやすくなります。この遺伝的素因に付随する形で環境要因が重なることでリスクが高まることになるのです。

予防できる原因

ここからは予防できる原因について解説していきます。予防できる原因の主な種類は以下の通りです。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 心房細動
  • 喫煙
  • 飲酒
  • 肥満


これらは「環境要因」として考えることができ、1つでも改善していけば脳卒中の発症リスクを下げられます。ここからはそれぞれの予防できる原因について解説します。

高血圧

脳卒中の発症リスクを最も高めるのが高血圧です。高血圧の状態は高い圧力をかけて血液が流れていく状態であり、血管への負担が常にかかっている状態になります。血管が傷つき、次第に柔軟性を失い、動脈硬化などにつながるのです。

血管が脆くなることで血管の壁が膨らんでいくつかの動脈瘤が脳内に形成されてしまいます。この動脈瘤にも高い圧力がかかり続けるため、耐え切れずに脳内で破裂し脳出血を起こすというのが簡単なメカニズムです。高血圧性脳出血は、脳出血の大多数を占めます。

高血圧の場合には降圧剤を飲むなどしてコントロールするほか、減塩食を実践して塩分をできる限り控えるなどして血圧を下げ続けることが求められます。

糖尿病

糖尿病は血糖値が高い状態が続く病気です。血糖値が高いと血液がおのずとドロドロになります。血液がドロドロになると血管が詰まりやすくなり、脳梗塞の原因になりやすいのです。

また脳卒中を引き起こす動脈硬化と糖尿病は密接な関係にあるとされ、糖尿病と高血圧が絡むと発症リスクを一気に高めます。そのため、高血圧と糖尿病を併発している方は早急な治療をしないと、早い段階で脳卒中を引き起こしかねないため、注意が必要です。

脂質異常症

脂質異常症は、血液中にある脂質が血管の内部で多くなってしまい、血液の流れを妨げていく症状です。高脂血症とも呼ばれ、中性脂肪やコレステロールが高い状態が該当します。本来中性脂肪もコレステロールも私たちの体には欠かせませんが、何事も過ぎるのは良くありません。

脂質異常症の状態だと血管の内部に脂質がたまっていき、血流の邪魔をします。その後動脈硬化になり、血管が完全に詰まって脳梗塞などを引き起こします。脂質異常症は生活習慣だけでなく、ストレスなども原因となるため、注意が必要です。

心房細動

心房細動は、心臓が正しく血液を送り出せない状態を指します。心房細動によって血液が滞留することになり、滞留された血液が血栓を作りやすい状態を誘発し、血栓が心臓から出されて脳内に行ってしまい、脳卒中を招きます。

心房細動の症状を抱える患者は脳卒中リスクが高いとされ、心房細動がない人の5倍ものリスクがあると言われています。このため、心房細動になったら早急な治療が必要となります。

喫煙

喫煙は非喫煙者と比べると脳卒中リスクが高くなってしまいます。しかも、女性の場合は喫煙と非喫煙で実に2倍ものリスクの違いがあり、男性よりも喫煙の影響が出やすいという研究結果が出ています。

くも膜下出血は喫煙との因果関係が強く、タバコの本数が多ければ多いほど発症リスクが高まるという結果が出ています。一方で今までは吸っていたけれど、吸うのをやめたという場合、全く吸わない人と同等の結果、内容によっては吸わない人よりもリスクが下がっている結果が出ています。

今までにたくさん吸ってきたからもう関係ないということは、少なくとも脳卒中には当てはまりません。今すぐにでもタバコをやめれば脳卒中のリスクを非喫煙者と同じレベルまで下げることは十分に可能なのです。

飲酒

タバコの場合は数本でも吸えばリスクになる状況でしたが、飲酒に関しては少しでもアルコールを摂取すれば発症リスクにつながるわけではありません。少なくとも日本酒1合未満だと発症リスクはあまり上昇しないからです。1合以上になると上昇しやすく、注意が必要です。

また脳梗塞に関しては飲酒との因果関係はないとされ、発症リスクも高まりません。しかし、脳出血など出血を伴う脳卒中に関しては飲酒の影響が出やすいとされています。飲酒をする場合はできるだけ1日1合程度のアルコールにとどめるのがおすすめです。

とはいえ、アルコールには血圧を高める作用や利尿効果があり、それが血栓などにつながつと言われています。飲酒をするにしても適量にとどめることが大切であり、飲む機会を少なくすることが求められます。

肥満

脳卒中のリスクを高めるものとして肥満も挙げられます。過去の調査ではBMIが23~25を基準にした場合、25を超えればリスクが高まり、23を下回ればリスクが下がっていくことが証明されています。

特にBMIが30を超えるとリスクが一気に高まることが指摘されており、女性の方が比較的肥満のリスクが高い傾向にあります。男性の場合は痩せれば痩せるほどリスクが落ちる傾向にあるため、肥満がカギを握っていることは明らかです。

肥満の状態は脂質異常症や高血圧など生活習慣病とも密接に関係しているため、一定のリスクにつながっていることは間違いありません。ゆえに脳卒中のリスクを下げるためにはとにかく痩せることが重要であり、生活習慣の改善によって環境要因を1つでも多く取り除いていくことが可能になります。

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